ユーザー行動の理解は、ユーザー体験の最適化、エンゲージメントの向上、そして顧客獲得率の増加に不可欠だ。
この分析では、BigQueryのGoogle Analyticsサンプルデータセットを使用し、ユーザー行動の基本的な指標について掘り下げる。
総訪問数、平均ページビュー数、トラフィックソースの分布、直帰率、セッション時間、デバイスタイプや地理的位置によるエンゲージメントなどの主要指標を探る。
前提条件:
- Access to Google Cloud Platform and BigQuery.
コードはGitHubに全部載せています。
基本指標
総訪問数
Eコマースサイトへの訪問数は、サイトのトラフィック全体を把握する基本的な指標だ。
SELECT COUNT(DISTINCT visitId) AS total_visits
FROM `bigquery-public-data.google_analytics_sample.ga_sessions_20170801`;
訪問ごとの平均ページビュー
訪問ごとの平均ページビューは、1セッション中にユーザーが閲覧するページの数を示す。
SELECT AVG(totals.pageviews) AS avg_pageviews_per_visit
FROM `bigquery-public-data.google_analytics_sample.ga_sessions_20170801`;
トラフィックソースの分布
トラフィックの流入元を把握することで、マーケティング戦略を調整し、主要な参照元を特定することができる。
SELECT trafficSource.source, COUNT(*) AS visit_count
FROM `bigquery-public-data.google_analytics_sample.ga_sessions_20170801`
GROUP BY trafficSource.source
ORDER BY visit_count DESC;
ユーザーエンゲージメント指標の分析
直帰率
直帰率は、ユーザーが1ページだけを閲覧してサイトを離れるセッションの割合を示す。直帰率が高い場合、ユーザーが求めている情報を見つけられない可能性がある。
SELECT
COUNTIF(totals.pageviews = 1) / COUNT(*) AS bounce_rate
FROM `bigquery-public-data.google_analytics_sample.ga_sessions_20170801`;
平均セッション時間
平均セッション時間は、ユーザーが1回の訪問でどれだけの時間サイトに滞在しているかを示す。
SELECT AVG(totals.timeOnSite) AS avg_session_duration
FROM `bigquery-public-data.google_analytics_sample.ga_sessions_20170801`;
デバイス別のエンゲージメント
デバイスごとのユーザーエクスペリエンスを分析することで、さまざまなデバイスでのサイトとのインタラクションを把握できる。
SELECT
device.deviceCategory,
AVG(totals.pageviews) AS avg_pageviews,
AVG(totals.timeOnSite) AS avg_time_on_site
FROM `bigquery-public-data.google_analytics_sample.ga_sessions_20170801`
GROUP BY device.deviceCategory;
地域別のユーザーエンゲージメント
ユーザーエンゲージメントの地域分析は、コンテンツやマーケティング施策を地域ごとに調整する手がかりになる。
SELECT
geoNetwork.country,
AVG(totals.pageviews) AS avg_pageviews,
AVG(totals.timeOnSite) AS avg_time_on_site
FROM `bigquery-public-data.google_analytics_sample.ga_sessions_20170801`
GROUP BY geoNetwork.country
ORDER BY avg_pageviews DESC
LIMIT 10;
結果
Google Analyticsサンプルデータセットの分析から得られた主なインサイトは以下の通り。
サイトトラフィックとページビュー
このEコマースサイトは、2017年8月1日に合計2,509回の訪問があった。ユーザーは平均4.28ページを訪問し、これはユーザーが複数のページを閲覧する適度なエンゲージメントを示している。
トラフィックソースの分布
上位9つのトラフィックソースは次の通り。
- ダイレクトトラフィックが最も多く、ブランドロイヤルティとサイトへの高いユーザー認知を示す。
- YouTubeは重要なリファラルソースで、ビデオマーケティングが有効であることを示唆している。
- analytics.google.comからの訪問は、ユーザーがGoogle Analytics経由でサイトにアクセスしている可能性がある。
- パートナーサイトからのトラフィックは、他のサイトとの連携が効果的であることを示している。
- DoubleClick for Advertisersからのトラフィックは、ディスプレイ広告キャンペーンがユーザーを誘導していることを示している。
- google.comからのトラフィックはオーガニック検索流入を示し、SEO戦略が機能していることを示唆。
- Google Sitesやその他の関連サービスからの訪問。
- FacebookとQuoraは、さらなる成長の機会がある。
ソース | Visit Count |
Direct | 2166 |
youtube.com | 180 |
analytics.google.com | 57 |
Partners | 52 |
DFA (DoubleClick for Advertisers) | 15 |
google.com | 12 |
sites.google.com | 8 |
facebook.com | 7 |
quora.com | 6 |
直帰率
サイトの直帰率は48.6%で、ユーザーの約半数が1ページだけを閲覧して離脱している。初期のユーザーエンゲージメントやランディングページの最適化に改善の余地がある。
セッション時間
平均セッション時間は325.05秒(約5.4分)で、エンゲージメントの高いユーザーはサイト内でかなりの時間を費やしている。
デバイス別の使用状況とエンゲージメント
デスクトップユーザーが最も高いエンゲージメントを示しており、平均4.78ページビュー、352.45秒の滞在時間。 モバイルユーザーは、ページビューが少なく(平均3.22)、滞在時間も短い(261.24秒)。 タブレットユーザーは、さらに低いエンゲージメント(平均3.12ページビュー、194.86秒)。
このデータは、デスクトップのエクスペリエンスがより包括的または使いやすい可能性を示しており、モバイルとタブレットでのエンゲージメント向上の機会がある。
地域別エンゲージメント
平均ページビューで上位10カ国を分析すると、興味深いパターンが見えてくる。
イラクとサウジアラビアが最も高い平均ページビュー(それぞれ15と11)を示しており、これらの市場からの高いエンゲージメントが伺える。
フィンランド、アイスランド、ベネズエラのユーザーは他の国と比べてサイト滞在時間が非常に長く、深いエンゲージメントを示している。
米国は平均ページビューがやや低め(5.8)だが、トラフィックの大部分を占めており、セッションの平均時間も368.6秒と平均を上回っている。
これらの地域ごとのインサイトは、ターゲットを絞ったマーケティング戦略やローカライズ、あるいは市場拡大の可能性を示唆している。
国 | 平均ページビュー数 | 平均サイト滞在時間 (秒) |
イラク | 15.0 | 493.0 |
サウジアラビア | 11.0 | 495.5 |
ドミニカ共和国 | 10.4 | 333.2 |
フィンランド | 9.5 | 1145.0 |
ベネズエラ | 9.3 | 4379.0 |
アイスランド | 9.0 | 1221.0 |
タイ | 6.9 | 108.0 |
アメリカ合衆国 | 5.8 | 368.6 |
ノルウェー | 5.6 | 189.4 |
セルビア | 5.3 | 1031.5 |
結論
以上の分析は、Eコマースサイトにおけるユーザー行動に関する重要な洞察を提供している。
訪問ごとのページビュー数やセッション時間の長さから、ユーザーがサイトのコンテンツや商品に価値を感じていることがわかる。ただし、直帰率が比較的高い点から、ユーザーエンゲージメントには改善の余地があると考えられる。
デバイスごとのエンゲージメントの違いは、全てのプラットフォームで一貫した体験を提供するための、モバイルフレンドリーなデザインの重要性を示している。特にモバイルやタブレットでのエンゲージメントが低いことを考慮すると、この改善が急務だ。
地理的には、一部の小規模市場で高いエンゲージメントが見られる一方、アメリカなどの大規模市場ではさらなるエンゲージメントの向上が期待される。これには、地域ごとのニーズに合わせたコンテンツや商品の最適化、またはエンゲージメントの障壁への対策が含まれる。
今後、これらの洞察をもとに、ユーザー体験の改善やマーケティング戦略の強化、そして最終的なコンバージョン率向上に取り組むことができる。
さらに進んだ分析では、特定のユーザーセグメントの詳細な調査や、カスタマージャーニーの分析、これらの指標と購買行動との関連性を掘り下げることが考えられる。